脱オンボロイド

A

 我が家に居ついているトンキニーズ系の野良猫くつしたがお産をしたことは薄々気付いていたが、先日ついに子猫を連れてきた。見た目も仕草も鳴き声も、その愛くるしさときたら筆舌に尽くしがたい。ただ難点があって、それは警戒心が強すぎること。警戒心が強すぎるぐらいじゃないとこの汚れた世界では生きていけないから良いんだけど、警戒するあまり、車のエンジンルームに隠れてしまうから困った。1週間ほど前は、旅の途中でエンジンルームに隠れていることがわかって、保険のロードサービスに出動を要請する騒ぎになった。エンジンを途中までばらしても奥へ奥へ潜り込み、頑固に身をひそめていたが、自宅に帰って母猫が「にゃー」と呼んだらすぐに車から出てきた。それからは、恐る恐る車を動かす日々が続いたが、ここ最近は姿が見えないので引っ越しをした模様。車は安心して稼働させられるようになったが、いなくなったらそれはそれで寂しいと思った。
 ディスプレイ不良の症状がいよいよ悪化したので、お気に入りのrayから、Xperia Aに機種変した。10年以上docomoを継続利用していたから、月々サポートが手厚い。実質15,000円程度だが、ポイントを使ったので正味6,000円。小ぶりな端末が好きなんだけど、スペックも高いし穴らしい穴はない。これはこれで気に入った。
 この頃仕事が途切れ気味で、8:30に始業して10:30頃には概ね業務を終えてしまう。慣れもあるけど、俺って手抜きの天才なんじゃないかと思う。手抜きするには、そこに行きつくまでにそれなりの手間をかける必要があった。業務をスムーズに進めるためのプロセスを組みなおしたり、ルーチン業務に時間をかけないように表計算ソフトの様式をとことん整備したり、書類の検索効率を上げるために綴り方を工夫したり。仕事がスムーズだとゆとりが生まれ、さらなる効率化を画策するだけの時間ができる。フォード社を創設したヘンリー・フォードばりの錬金術である。この好循環を繰り返せば、半年後には俺の仕事なんてゼロになってしまいそうだ。
 …眩しい色彩も、石のような空も、見つめあうことさえも、越えてゆくだろう。凍えていた夜明けを、今もう一度この手で