軽井沢

川上庵と映画泥棒

 今年の旅行は、未だ足を踏み入れたことのない信州長野県にした。
 初日は、観光メイン。まずは、無類の水場ファンとしてスルーできない白糸の滝。下調べしたところ、「想像よりも小さい」という感想が目立ったが、たしかに大きくはない。低い位置から何本も広範囲に水が流れる様子は、まさに"白糸"。迫力を求めると裏切られるが、穏やかで優しい景色は、実に軽井沢らしいと言える。
 滝を堪能したあとは、売店の1尾700円という観光客価格の岩魚を喰いちぎり、星野エリアに移動してランチ。長野の定番、川上庵のそば(画像)を食べた。そば本体はもちろん、サイドメニューの天ぷら、鴨、豆腐がとにかく美味い。
 食後は星野エリアを散策。荘厳な佇まいに圧倒される石の教会をはじめ、無宗教な俺が教会めぐりをして、そのあとムーゼの森へ。おもちゃ博物館と絵本美術館は、正直に言うと期待したほどではなかったが、子どものころの記憶が少し呼び覚まされ、俺の体にまとった無邪気さが増幅したように思えた。
 宿にチェックインして、近隣のレストランへ。軽井沢は、高原野菜が有名なせいか、イタリアンの名店が多い。セットメニューにドリンクはグラスワインの赤。次々と運ばれてくる料理は、どれも素材の良さを感じられる。やはり野菜が美味い。
 2日目、朝食はホテルのバイキング。単なるサラダなのに、いちいち野菜のレベルが高い。プチトマトが妙に甘かった。
 チェックアウトして旧軽井沢銀座通りへ。物珍しい店が軒を連ね、見るものすべてが興味深い。目につくものを片っ端から食べ歩いたが、コロッケと、その場で焼いてくれる煎餅は抜群に美味かった。ミカドコーヒーのモカソフトは、甘すぎずしっかりモカ風味。評判に違わぬ美味さだった。
 昼過ぎに、プリンスショッピングプラザへ移動。敷地の広大さは、他のアウトレットの追随を許さない。事前学習してショップに目星をつけておかないと、時間がいくらあっても足りないかも。ラグランTシャツなどを買って、宿に入る。
 夕食は、有名店トラットリアプリモへ。好物のバーニャカウダを頼むが、やはりここでも野菜が美味い。せっかくのバーニャカウダソースなのに、それを付けずに素のまま食べてしまうほど。ピザも野菜の良さを引き立たせて美味かった。
 3日目も、プリンスショッピングプラザ。洋服を買い足して、ジャム、酒、ソーセージ等を買い込んで軽井沢を後にした。
 軽井沢ブランドの野菜はどれも美味かったが、感動するほどではなかった。それは、俺が普段から美味い野菜を喰える土地に暮らしているからであろう。恵まれた土地に住んでいる自分の立ち位置を再確認できたし、良い旅だった。
 …きみのベールを捲れば、それだけでもう過剰な理由。まずはありのまま、夜のとばり開ける。街はゆらめくカリフォルニア。一体何を飲んで、一切遠くなって、一回目の成功をした。まるで成熟の時計が壊れてしまったみたい。まるで青春の風邪をこじらせたような、狂った浮遊