中学生円山

エンケン

 「少年メリケンサック」以来の宮藤官九郎監督作品「中学生円山」を観た。中二病、韓流ブーム、団地妻、殺人、徘徊老人等を、主人公の妄想と現実を行き来しながら詰め込み放題詰め込んで、小ネタ満載なんだけど、メインテーマは"なぜ人を殺してはいけないのか"というところ。見どころは、遠藤賢司演じる徘徊老人が、ストリートミュージシャンの舞台を乗っ取る場面。これぞパンクと言わんばかりの凄まじいシーンだった。何を歌っているのかわからなかったけど、何か伝わるものがあった。エンドロールでクレジットを見たら、音楽を担当するのは、元ナンバーガールで現座禅ボーイズで、かの椎名林檎もリスペクトしてやまない向井秀徳だった。どおりで凄味があるわけだ。劇中に「考えない大人になるくらいなら、死ぬまで中学生でいるべきだ」という台詞が出てくるが、これを、俺の職場のおっさん達に言ってやりたいと強く思った。
 気候が良いので、仕事が終わってから散歩したりする。この土地に越して3年目になるが、特色としては、猫が多いことと、貧富の差が激しいこと。散歩しながら俺は、中学生円山ばりに近所の素性を妄想しまくっている。
 …やがてぼくらは超えてゆくだろう。冬の吐息も、夏の陽炎も。悲しい記憶の蓋が開いたら、この手必要かい、この手