デタラメ・マザコン・チェリーボーイ

金玉ガールズ

 そこはあまり大手じゃないファミレスで、メジャーどころよりもやや高級な料理を出すイメージがあって、7、8年前まではよくそこで食べたりしていた。先日、久々に行ったら、セットメニューならライスとカレーが食べ放題になってたり、店長の白髪が増えたりしていて、時の流れを感じた。しかし、そんなノスタルジックな気分を一掃したのは、隣のテーブルに座った外国人だった。年のころは50歳前後で子供連れの女性。スープバーを注文していないのに、スープをガフガフ飲むようなタイプのアジア系なんだけど、聞き耳をそばだてていたら韓国の方らしい。そのファミレスに結婚相談所の人を呼んで、妹の結婚相手について検討しているところだった。候補の日本人男性は、気は優しいが声が小さく、皿すら洗わないような物ぐさな人。この縁談、果たしてうまくまとまるのかどうかと思いを馳せながら食べるハンバーグは、なかなか美味だった。
 今日、美容室へ行ったら、先客は中国人の母娘。娘はホテル勤めで理不尽な職場に不満を抱きながらも勤労に励んでいる様子。尖閣問題で騒いでいるのはほんの一握りの人間だけで、自分がもし日本を嫌いならとっくにお国に帰っているとか、来年は両親が結婚10周年(再婚らしい)だからサプライズ挙式を計画しているとか、流暢に、日本人みたいな間で、日本人みたいなイントネーションでしゃべっていた。表現しずらいが、とにかく日本以外のアジア人女性はハングリーでバイタリティが高い気がした。
 レンタル落ちのCDがワゴンで投げ売りされているが、この頃ますます値崩れを起こしている。先日は、PUFFYのベスト盤と、電気グルーヴのVITAMIN以降の3作品、それから、デトロイトメタルシティの劇中に登場する金玉ガールズ(マキシシングル)を計5枚買いこんで、締めて約千円。我ながらなかなか良い買い物をした。金玉ガールズはロンドンパンク直系で、歌詞に品がない。そこそこ過激でB級臭いところが気に入った。
 …手にしたいものがない者に、眠れぬ夜はないんだ。守りたいものがない者に、この怖れなどないんだ。握りしめることもなければ、奪われることもないんだ。失くしたって気付かぬ者からは、何も奪えやしないんだ