河童の清作

たこ八郎

 先日、「FNSうたの夏まつり」という番組を見たら、人気子役の小林星蘭谷花音のユニット「すたーふらわー」は楽しそうに歌っていたが、幼稚園のお遊戯会みたいだった。そして、あとから登場した芦田愛菜は明らかに口パクだった。
 口パクと言えば、ロンドン五輪開会式でのポール・マッカートニー。後日、「リップシンク(口パク)を指示されたが、本番では背いてやった」とツイートしている。これぞロックというポールの反骨心には賛辞を贈りたい。
 そして閉会したロンドン五輪。印象に残ったのは、韓国人選手の蛮行や不可解なジャッジなど。閉会式では満を持してブライアン・メイが登場。スパイスガールズは、日本で言えば落ち目のモーニング娘。みたいに見えたが、英国ではいささか認識が違うのか。
 メダリストは誰もそれなりに凄いんだろうけど、中でも「おおっ!」と思ったのはボクシングの村田諒太選手。WBC、WBA、IBF、WBOと団体が乱立し、階級も細切れになったプロボクシンで世界チャンピオンになるよりも、五輪で金メダルを獲ることのほうが遙かに難しいと思われる。
 そんな村田選手のファイトスタイルは、前半はガードを固めて相手に打たせるだけ打たせて、相手が打ち疲れた後半に猛攻を仕掛けて逆転するというもの。この作戦は、アリが圧倒的不利の前評判を覆してジョージ・フォアマンをKOした、かの有名な「キンシャサの奇跡」にも通じる。日本で言えば、相手が疲れるまでノーガードで打たせ続ける斎藤清作のボクシングにも似ている。
 ちなみに斎藤清作とは、のちにコメディアンとしてお茶の間の人気者になるたこ八郎(画像)のことである。さらに余談だが、赤塚不二夫の葬儀で、タモリが白紙を見ながら「私も、あなたの数多くの作品の一つです」と弔辞を読んだのはもはや伝説となっているが、海で溺死したたこ八郎の葬儀でもタモリは「たこが海で死んだ。何にも悲しいことはない」と歴史に残る弔辞を読んでいる。
 妊娠疑惑のあったパンパンの腹の猫のくつした。ある朝は、だるんだるんの腹をしておやつをもらいにやってきた。どこかでお産をしたに違いない。
 …迷子と迷子がすれ違うたび、ひとつ、またひとつと道は増えて、入り組んでゆくだけの迷路を、誰かがふと「世界」と呼んでみたんだ