楽天ゴールデンエンジェルス

松井稼頭央

 日本人のサッカーのパス交換と言えば、Jリーグ発足前は、まず胸でトラップして、そのあと足で2トラップぐらいして、地面に落としてボールの置き所を直したりして、なんだかんだで4トラップぐらいしてたんだけど、今の日本代表は中盤だけで言えばバルセロナばりのパスワーク。先日の、日本対豪州は、フランク・ライカールト時代のバルセロナと、レアル・マドリード(監督の名前は忘れたけど、指示の出し方がオーバーアクションで、脇汗のすごい人だったと記憶している)の試合のようだった。あの頃は、フィジカルと上背を最大限に活かした戦法をとったレアルが、バルサのパスサッカーを負かしたんだけど、先日の日本は豪州と互角以上だった。ザッケローニは、香川を語るにシェフチェンコを引き合いに出したが、イタリア人特有のリップサービス込みとはいえ、シェフチェンコの全盛期を知るザッケローニからすれば、最大限の賛辞と言える。中東が相手のときは、もう安心して試合を観られる。というか、観なくても良いぐらいだ。
 "ブラジルとアルゼンチンが不在のW杯"と言われるユーロ2012が面白い。堅実なドイツは今大会も優勝候補の一角。異色なのは、カテナチオを捨てて攻撃的なスタイルで躍動するイタリア。チーム再建がうまくいったフランスは、スペインに屈してしまった。途中出場したペドロ・ロドリゲスの動きが抜きんでていて、次戦も楽しみである。
 郡山に楽天イーグルスが来たので、生観戦してきた。幸運にも先発は田中投手。投球練習のときからただならぬ球威を感じた。試合は手に汗にぎる接戦。田中投手は、ランナーを出すとギアを一段階に上に入れ、本塁を踏ませない大人のピッチング。力配分が巧みで、10安打浴びながらも完投した。「楽天ゴールデンエンジェルス」と呼ばれるチアリーダーの動きが俊敏で、選手以上だと思った。スタジアムで飲むビールは美味い。田淵コーチはやたらでかい。試合後、松井稼頭央選手(画像)と握手した。田中投手は報道陣の取り巻きが多くて近づけなかった。
 ねごとのアルバムを聴いてみた。ジュディマリがシーンに登場して以降、女子はみんなYUKIになりたくて、歌がダメだったり、ルックスが酷かったりしたら仕方なく楽器を持つ。そしてガールズバンドブームが到来したという構図。ねごとは、久々にジュディマリのフォロワーという感じが全然しないバンドだ。ボーカルの蒼山は、メロディを丁寧になぞるタイプで、歌唱力がすごいわけではないが、かといって欠点らしい欠点も見当たらない。特徴は、前面に押し出したキーボードで、それがねごとの世界観を創り出している。
 …「絶望なんかまだしてんの? 何をそんな期待してるの?」。ご忠告どうもありがとう。でも譲る気はないんだ。僕はね、知ってるんだ、これらすべて喜びの対価だと。万歳のおたまじゃくしだと