文金高島田

文金高島田(小梅太夫)

 恒例の人事異動が行われて、予想通り残留した俺だったが、仕事の内容がガラッと変わり、いきなり多忙になった。実質的に、今日は今月に入って2回目の休みである。まるでドンキーコングのような中年男は送別会にも出席せずに去っていき、替わりに三毛猫のようなヘアスタイルの変人が俺の対面に座った。三毛猫は空気環境オタクのようで、怪しい計器をたくさん机に並べ、一日一回は必ず「今日は二酸化炭素濃度が低いだっぺ」だとか大きい声で独り言を言う。CADもある程度扱えるようで、「よく言うじゃないですか、『笑うCADにも福来たる』ってだっぺ」と駄洒落を飛ばして冷笑を買ったりしている。また、自前のスキャナーを持ち込んで、仕事の資料を片っ端からスキャニングした挙句、「『あんたもスッキャナー』(「好きやな」の意)って言われちゃうだっぺ」などと言って周囲を凍りつかせたりしている。
 残業代はおいおい入ってくるはずだがJRAが苦戦しているから差引ゼロか。桜花賞ジョワドヴィーヴル然り、皐月賞グランデッツァ然り、話題が先行しすぎて馬本来の力量を見定めにくい。土日はずっと仕事してるから、久々の福島開催も行けないで終わりそうだ。
 髪の毛を切る暇もなくて伸び放題。万一今日も休めないようだったら、文金高島田(画像)にでもするしかないと思った。
 …リアルと夢と永遠と今と幻想が、束になって僕を胴上げしてんだ。あの日僕らを染め上げた群青が、今もこの皮膚のしたを覆ってんだ