強く儚いものたち

中尊寺

 奥州紀行、最終日は猊鼻渓の舟下りから。俺は水場が大好きなんだけど、スケール感が半端ではなく、生涯見た中で最も良い景色と言って過言ではない。カモシカやムササビなどの野生動物も多く生息しているらしいが、この目で確認できたのはアオサギとコイ。コイの餌を大量に買ったので、景気よく蒔きながら船頭の名調子に耳を傾ける。岩手の方言が、優しく鼓膜に染み入る。が、福島県の方言もそれほど変わりないのか。気温が高い日だったが、時折吹く風が心地よい。岩手へ行くなら猊鼻渓はマストだと思った。
 続いて、世界遺産に登録された平泉へ。参拝する前に、まずは、名物わんこそば。トータルすればそれなりの量だが、ソバ故に淡泊だから結構喰えてしまう。腹ごしらえを済ませたら世界遺産を目指して急坂を上がる。弁慶が自ら彫ったと言われる像などを見て、いよいよ金色堂へ。お目にかかるのは25年ぶり2度目だが、手間暇と金のかけかたは圧巻だった。拝み倒して、お堂を後に。帰り道、茶屋でグリーンティーを飲む。そこの茶屋のグリーンティーは、抹茶をベースにガムシロか何かで甘い味がついている。実は、25年前にも飲んですごく美味しかったのをよく覚えている。25年間味が変わらないことに感動した。
 …何度も朝がやってくる。戻せなくなったことばかり。どこか近くを漂う。寄り添ってるのかい? いつかみたいに。風が今も、今も