ひさかたの、光のどけき春の日に

 転居してひと月と20日が経ち、落ち着いたかと言えば落ち着いたような気もするし、いまだに落ち着かない気もする。新年あけましておめでとうございます。
 池を景勝地としてウリにしている矢吹村だが、我が家のすぐそばにも小さな池がある。背と鼻の下を少し伸ばせば我が家からも見えそうな小さな池を勝手に"夜叉ヶ池"と名付け、自分の庭の一部として捉えることにした。夜叉ヶ池には野鳥も多く飛来する。ほとんどはマガモだが、場合によっては羽休めをするハクチョウの姿も見られる。鳥インフルエンザで大騒ぎとは無縁の、のどかな景色である。
 セールスランキングの上位に位置する毛皮のマリーズだが、意外なほどショップでCDを見かけない。ようやくゲットした新譜は、グラムロックの匂いのするポジティブな楽曲が揃った傑作だった。特に、シングルとしても発売されている"愛のテーマ"は、曲の良さもさることながら、PVにローリーやニューロティカら往年の名うてバンドマンが出演していて、血がたぎるのを覚えた。
 今夜は、嫁が不在なので即席ラーメン。こんな貧乏な浪人生みたいな食事が、たまに無性に恋しくなる。くさし者の俺は、無論どんぶりなどに移さず、鍋のまま喰う。
 …ここは異郷か、これは現実か、ただの余興か。真昼の光の中へと出てゆこう。俺は塵芥