衝動買い

戦利品

 一度は死の淵から蘇えったBOSEWMSだったが、その命は風前の灯で、Guns N' Rosesを流したら、November rainのギターソロが始まる直前で再び息絶えた。ちなみにスラッシュが弾くNovember rainのギターソロは、スラッシュの最高のプレイと言われている。
 アルゼンチンを破り、これ以上ないスタートを切ったザックジャパン。続く韓国戦でもすごく良いサッカーを見せてくれた。システム、距離感、選手交替等々、とにかくバランスを大事にする監督で、替えが利かないDFだった中澤と闘莉王を欠きながら、アルゼンチンと韓国を零封したのはただごとではない。システムを重視するも、試合が小ぢんまりすることはなく、常にスピーディで時折ダイナミックな展開も見られ、試合内容も面白い。これなら強豪国相手でも大崩れすることはなさそうだ。ザッケローニ氏の印象を「雰囲気がジーコに似ている」と報じたメディアがあったが、ジーコに似ているのは頭髪の密度だけだと思った。ジーコが指揮をとった暗黒の4年間のことは早く忘れたい。今思えば、あれは何だったのか。
 CDのワゴンセールから掘り出し物を3枚発掘した(画像)。なぜか、発掘場所はドラッグストアである。音楽は心のおくすりってことですか。
 掘り出し物の1枚目は真心ブラザーズの「GOOD TIMES」。真心の曲は当たりハズレの落差が大きいが、このアルバムには少なくとも超名曲が3曲収録されている。まず2曲目の「サティスファクション」は、俺の人生観をも変えた曲。ローリングストーンズや日本のパンクバンドのアナーキーが、「満足できない」と歌い、ロックとは満足しないことなんだ、不満こそロックのエナジーなんだ、という認識がすっかり定着したなか、いけしゃあしゃあと真心は「俺は大満足」だとか「不満はダサい」だとか歌いやがるのだ。次に3曲目の「突風」。これは、移ろい変わる世の中にいちいちリアクションなんてしていられるか、という真心らしいふてぶてしい曲で、それは「僕は僕の素晴らしき人生のために、寝っ転がってテレビを見ている」という僅か2行に集約されている。そして11曲目の「COSMOS」。これから世界がどんな風に変わっても、すべてを受け入れたうえで楽しく生きていこうという、悟りを開いたかのようなポジティブな曲。この曲の「びびっていたら幸せになれない。当たり前の顔して幸福になる」というフレーズも、俺の人生観をプラス方向に修正してくれたように思う。
 2枚目は、トライセラトップスのベスト盤。俺がメンバーだったら収録を拒みたくなるような、初期の青臭い曲から往年の代表曲まで17曲を収録。徐々にスタイルを確立し、ミュージシャンとして成長する様子が窺える。このオシャレな音楽を演っているのが、料理研究家平野レミの息子だとは到底思えないんだけど。
 3枚目は、SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERのベスト盤。トラットリアからアルバムを出していたことで"シブヤ系"とくくられることが多いが、俺としては筋金入りのロックと認識している。ボーカル兼ギターの日暮愛葉のテクニックは、"8フィンガーハンマリング奏法"なんて呼ばれている。ちなみに父は「無印良品」というブランド名を考案した、コピーライターの日暮真三氏。
 3枚とも100円だったんだけど、CDを買って帰宅してから「あ、オーディオ壊れてるから聞けないんだった」と思い出すんだ。これこそ衝動買いである。
 今日は出張だったわけなんだけど、普通に出勤するよりも出張のほうがラクでいいとか思った。
 …そんなこんなで月日は過ぎ、誰もが前に進もうと急ぎ、夢と現実をさまよう中で、僕はまだ前も見れないままで。きっとこれはあの日の後悔。やっぱりまだ引っかかってるのかい? 別れの涙に溶かしただけで、伝えられなかったこの思い