クレイジーキャッツとスチャダラパー

tetsuo_hara2010-05-24

 親善試合を消化すればするほど、日本代表の南アフリカ大会に暗雲が立ち込める。もしかすると代表チームよりも、マルキーニョスのいる鹿島アントラーズのほうが強いかも知れない。横浜マリノス木村和司監督は、鹿島アントラーズに負けたとき「マルキーニョスにちゃぶられた。完敗です」と独特の言い回しでコメントしていた。"ちゃぶられた"とは、広島弁で"遊ばれた"のような意味らしい。あるサッカー関係者は、バルセロナで点をとりまくるメッシを見て「まるでプレイステーションのようだ」と形容したとか。それぐらい常人離れしているメッシのプレイをもってしても、アルゼンチン代表は南アフリカ大会で痛い目に遭うに違いない。マラドーナ監督にあるのは、選手時代のカリスマの残り香と、アルゼンチン代表のユニフォームへの忠誠心だけである。チームポリシーや戦術は皆無と言っても過言ではない。
 "スチャラカでスーダラなラッパー"がスチャダラパーのユニット名の由来だが、谷啓にアルバム参加をオファーするほど、メンバーはクレイジーキャッツをリスペクトしている。先日、ラジオを聞いていたらクレイジーキャッツ特集が流れていた。何の気なしに聞いていたが、俺が思っている以上にスチャダラパークレイジーキャッツをリスペクトしていることを確信した。谷啓も参加している「あんた誰?」というスチャダラパーの曲は、レコ屋で知らない人に声をかけられたけどあんた誰?とかそんな曲だけど、同じタイトルの曲がクレイジーキャッツにもあって、こちらは美女に笑顔を向けられたからこちらも笑顔を返したら、美女の彼氏にぶん殴られたんだけどあんた誰?みたいな曲である。そもそも「あんた誰?」という言葉そのものが谷啓のギャグなのだ。
 また、「5万節」というクレイジーキャッツの曲は、キャバレーに通って読まれた鼻毛が5万本とか、パチンコで取ったピースが5万本とかそんな歌詞が延々と続き、最終的には、クラス会で思い出話に花が咲いて、開けたビールが5万本、と締められる。一方、スチャダラパーには「給料10万円節」という似たタイトルの曲があり、音楽業界で期待をかけられても結局給料は手取りで10万円とかそんな曲である。あえて言うまでもないが、クレイジーキャッツの歌詞のほとんどは、故・青島幸男都知事の手によるものである。スチャダラパーの初期の作品ほどクレイジーキャッツの影響が色濃く、遊び心がたまらなく好きである。
 先日は、通称"八山田のディディエ・ドログバ"とサイゼリアで晩飯を食べた。好物は蛙の味噌汁と蝙蝠の干物、とでも言いそうな顔をしている彼だが、実は極度の甘党である。千里先を見るような遠い目で「あそこの床屋は700円だ」とか言いながら、コーヒーに砂糖をたっぷり入れ、デザートのプリンをねちょねちょと喰っていた。甘いものを喰っているのに、ものすごく苦いものを喰うような表情をするもんだから、口蹄疫にでも感染してるんじゃないかと思う。
 …立ちこめた霧がかかる五次元世界の彼方で、僕達が乗り遅れた花のバスへ手を振って、宇宙船の形をしたヒッピー・バスへ乗り込もう