物の怪ダンス(ゴリラ編)

tetsuo_hara2010-04-07

 謹んで、木村拓也氏のご冥福をお祈りします。もともとヘビースモーカーだったし、単身赴任で食生活が乱れていたことに加え、コーチ就任1年目でただならぬストレスを感じていた模様。木村氏の逝去は、4月の人事異動等で職場環境が変わった人たちに対する警鐘でもある。
 W杯本番直前のこの時期に、セルビア代表との親善試合を組めたのは、日本サッカー協会のファインプレーだ。セルビア代表と言えば、数ヶ月前にこのブログでも紹介した注目の強豪国。今日は2mを超す長身のジギッチら主力は召集できなかったものの、完成度の高い大人びたサッカーを魅せてくれた。3対0のスコアにも納得である。日本代表は、途中出場の石川直宏以外は明るい材料はなかった。試合後に中村俊輔が「初心に帰ることが必要」と語ったが、これは岡田流を捨ててオシム流に戻すことを暗に示している。それにしても、右に張ってたと思ったらいつの間にか左にポジションを替え、かと思えば中央に切れ込んでゴールを狙ったりする石川直宏の動きはとにかく際立っていた。
 ブログに「注目国はセルビア」と書けばセルビアと親善試合が組まれるし、「石川直宏を召集すべきだ」と昔書いたら本当に召集された。このブログ、まるでデスノートみたいだ。
 会社で、俺の向かいの席に座る男は態度がものすごくでかい。一日中大きな声でベラベラベラベラ喋って周囲を引っ掻き回し、親方の胃薬の量を増やしている。天才なのか単なるズボラなのか知らないが、過去の仕事の記録や書類をほとんど残していない。その男が3月まで持っていた仕事を引き継いだのが俺なんだけど、なにせ書類が残っていないもんだから暗中模索を強いられている。まぁ、荒れ地を耕す作業も嫌いではなく、それなりに楽しんでやってはいるが。
 転勤して1週間が経つが、この頃はその態度のでかい男のことがゴリラにしか見えなくなってきた。先日は500円硬貨を渡されて「みそ味のカップ麺は買ってあるからさ、それに合うような弁当を適当に頼んどいて」なんて言われたもんだから、「何でもいいんですね? はい、わかりました」と相づちを打ち、塩ラーメンを注文しておいてやった。黒い闇の中、モノノケがダンス。暗闇の奥で、モノノケのダンス。ベランダで見てる、モノノケでやんす。消えて現れる、モノノケスタンス。
 …僕の目に見えない空を飛ぶ衛星。浅く眠っている僕達の上を過ぎる。昼過ぎに聞こえるヘリコプターの音を、僕は聞きながら悪い夢ばかり見てる