むき出しの愛情ならお前にやれるよ

tetsuo_hara2009-02-13

 タイトルの「むき出しの愛情ならお前にやれるよ」とは連歌で言えば上の句にあたるもので、「気にいらねぇんだったら墓場に捨てなよ」と下の句が続く。
 大ボスはゴッドファーザーで言えばドン・コルレオーネのような絶対的な存在だが、美食家たるゆえメタボリックシンドローム予備軍である。先日、メタボ系の健診から帰ってきて診断の話題になった折、小ボスが「でも、そんなふうには(メタボ体型には)見えないですよね」と言葉をかけたところ、すかさず副ボスが「おだてることないだっぺ!!」と横から元気良くツッコミを入れた。副ボスはしたり顔だったが、あまりにタイミングの良いツッコミだったため、大ボスの逆鱗に触れたのでは、と我々下々の者は気が気ではない。それでも何事も無かったかのように診断の様子を伝える大ボスは、器の大きさもドン・コルレーネ並みである。
 今週の「ありふれた奇跡」(画像)も最高だった。お互いの息子と娘のお付き合いについて、女装クラブで顔見知りのはずの風間杜夫岸部一徳が、初対面を装って真剣に話し合うシーンは内臓がよじれるんじゃないかと思うほどおかしかった。話し合いがヒートアップして冷静さを失った頃、風間杜夫がとうとう「それはおかしいじゃないか! シルバーナさん!!」と岸部一徳のことを女装クラブの源氏名で呼んでしまう。そのときの岸部一徳の表情も傑作だったが、そこへ絡んでいく祖父役の井川比佐志も最高だった。さすが山田太一作品だと思ったのは、女装という世間に知られてはならない趣味を持つ盟友同士なのに、この件では真剣に対立してしまうところ。親の愛情の強さを表現するのにこれ以上ない演出である。それと、加瀬亮と母親が笑いながら弁当を食べるシーンで今週は幕を閉じたが、ほのぼのと安心感を醸す終わりかたに凄く好感を持った。唯一苦言を呈するとすれば、役作りのため過酷なダイエットまでした陣内孝則。いつもながらあくの強すぎる"やり過ぎ"な演技は、正直言ってミス・キャストに思えた。
 ペット事情を扱った英国のBBC制作の番組。猫の繁殖で大富豪になったものの、猫が病気になったり死ぬたびに鬱になる男性や、ブタの飼育に最高の悦びを感じる男性を取り上げて相当興味深かった。手に負えなくなったイグアナを飼い主が故意的に逃がしてしまい、それを一時的に保護した警察官。2週間は保護するが、それでも飼い主が名乗り出なかったり貰い手が見つからなかった場合は処分するしかないそうだ。その警察官が言うには、当のイグアナの貰い手を見つけるのは至難の業とのこと。理由は、大きくて、オスで、そしてイグアナである点。そしたらナレーターが「世の中の大柄な男性のみなさん、イグアナじゃなくて本当に良かったですね。」って言いやがった。
 …待ち合わせた場所は群れの中。ちょっとだけ後悔した。ややもあって君が現れた。薄着の二人。それでもこの手は何を求めてる? いっそ頭を解かしてみてはいかが?