パトロンとクライアント

 待ちに待ったガンズ・アンド・ローゼズの新譜をようやく手に入れることができた。まだ通して1回しか聴いていないが、アルバムタイトルトラックにもなっている1曲目「チャイニーズ・デモクラシー」(動画参照)のイントロ部分が流れる瞬間の興奮といったら筆舌に尽くしがたい。ビートを封印してメロディを生かすような曲も少なくなく、正直言ってアルバムの中盤はダレるが、これはあくまで第一印象。「ノベンバー・レイン」等でも実証されているとおり、アクセル・ローズは大仰なバラードを書くことも苦にしない。ビートを犠牲にしてまでメロウさを際立たせた曲は、聴き込めば味が出てくるに違いない。

 ところで、何年も前から「出る」「出る」と言いつつ結局出ず仕舞いだったこのアルバム、業を煮やしたドクターペッパーセブンアップ社が「新作アルバムが2008年中にリリースされたら、ドクターペッパーアメリカ全国民に一缶ずつおごる。ただし、スラッシュとバケット・ヘッドは除く」とキャンペーンを打った。結局アルバムは11月にリリースされたため、米国民はタダでドクター・ペッパーをプレゼントされることになった。俺、ドクターペッパーのタダ飲みとかしたいから一瞬だけ国籍を米国に移そうかな。
 先週の中ごろから表に出したくてうずうずしていた仕事があったが、ウダウダと先延ばしにされて週を持ち越し、月曜日にやっと処理が済んだばかりだ。長い便秘が解消されたかのようなスッキリした気分になったが、古代ローマの庇護関係のように俺のもとへは次から次へと人が訪れ、頼みごとをしてゆく。年を越せる気がしなくなってきた。
 数週間前に美容室へ行ったら幼稚園ぐらいの子供の客がいて、一秒たりともじっとしていられず、店の外へ出たかと思えば出入り口付近で立小便をしたりとやりたい放題だった。子供とは得てしてそういうものだし俺は別に驚きもしない。ところが、外のプランターに植えてある花をちぎって「ママは、お花が好きだから」と店内にいた母親に差し出したときだけは、俺は少し泣きそうになった。
 …きみと出会う幸運が殊の外、つまらぬ感情を連れてきた。きみが察知した運命。ねえ、それは聞きたくもない