蚊帳の外

 春も近くなり黄砂による被害が叫ばれているが、人間の力では抑止のしようがない。かつての日本がそうだったように、発展途上国は環境問題への関心がものすごく低い。しかし黄砂問題がそれほど取り上げられていない1989年に「黄砂に吹かれて」という曲を作った中島みゆきという人は恐ろしい。
 予告どおり"ガチ☆ボーイ"を観た。事故の後遺症で、睡眠をとるとその日の記憶がなくなってしまう青年が、プロレスと出会うことにより、頭で憶えていなくとも体で覚えて生きる実感を取り戻していく、というストーリー。体の痛みで記憶を呼び起こす部分とか、プロレス研究会の面々の人物像とか、学園祭の後の話とか、掘り下げる余地はまだまだ残されており期待したほどではなかったが、爽やかでなかなか良い映画だった。主演の佐藤隆太をはじめ、売出中の若手が味のある芝居を演じていたが、なかでも泉谷しげる(画像)の演技は別次元だった。主人公の父親役の泉谷氏はやはり昼間から酒を飲んでいて、どんな映画やドラマに出演しても役どころはいつも一緒なのだが、ほかの誰にも真似のできないその演技は神の領域に達している。
サエコのバストがやたら大きく見えたのだが、ダルビッシュの子を宿したのが原因だろうか。女優としてのサエコを見たのはほとんど初めてだったが、役者としてどうとかそういうことよりも、とにかくダルビッシュのことが羨ましく思えた。
 俺が主導で進めているプロジェクトが旬の季節に入ったことで、仕事のほうはとても忙しい。自分の抱えている仕事に没頭するあまり、他の人たちが仲間仲間しているときに俺ひとりだけ"蚊帳の外"みたいな空気になっている。傍から見ればそんな感じだが、俺は心の中で「"蚊帳の外"にいるのは俺じゃなくておまいらひとりひとりなんだよ。俺だけ蚊帳の内側にいるんだ」と薄ら笑っている。今日も周りが定時で退勤するなか、俺だけ22時近くまで残業していた。俺の4倍も5倍も給料を貰っているおっさんが「じゃ!」と定時で退勤し、サラリーの少ない俺が夜中まで仕事をする。格差社会が問題とされる昨今、俺はこれを"職場内格差社会"と銘打ちたいと思った。
 容赦なく降り注ぐ仕事の雨あられに加え、数日前から臀部に鈍痛を抱えている。(エディ・ヴァン・ヘイレンが同じように臀部に痛みを抱えていたが、エディの場合は悪性腫瘍だったために手術を施した)俺、仕事のこといろいろ憶えても一度眠ると全部忘れちまうから臀部の痛みを感じて思い出せってことなのかも知れない。
 …今でも、きみの事をうたうリフレインはずっと溢れるけれど、熱はないんだ。汚れて冷えきってんだ