翼をなくしたペガサスが、夜空にはしごをかけている

 先日キャンペーンでいただいた「コカ・コーラzero」を試飲してみたが、やはり本家コカ・コーラには到底及ばないという印象。どうしても俺は人工甘味料アスパルテーム」のわざとらしい甘さが不得手のようだ。腰周り丸出しのキャンギャルですら、俺の味覚までは制圧できなかった。
 大ボスと中ボスと外様ボスの三人は、中年男性にしては珍しく一日中ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ喋るタイプだ。さぞ気心の知れた仲になったのだろうと思ったが、それほどでもない。片一方で豆腐の話をしていたら、片一方ではそれを納豆の話だと思って聞いていたりするから。とは言っても、大ボスの見識は時に俺を唸らせる。納豆の天ぷらをレシピに加えようとする研究熱心な食品加工会社の話をしていたら「"天ぷら"というのは新鮮な素材を揚げるからおいしいのであって、納豆を天ぷらにしたところでそんなものは物珍しさ以外の何物でもない」とピシャリと断言してしまうのだ。なかなかの論客である。
 お気に入りのハンドメイドコスメショップ「LUSH」から、"アイラブ・ジューシー"というリキッドシャンプーを買った。パイナップルやマンゴーやキウイなどが原材料として使われており、独特のフルーティな香りもさることながら、洗い上がりの髪の毛のさわり心地がまるでファイバー繊維のようにツルッツルになるのだ。しかし、これで洗髪して栃木県へ行ったらたいへんだ。フルーツの匂いを嗅ぎ付けた日光猿軍団に頭をガブッとやられるに違いない。あそこは人口の約半分が日光猿軍団だから。

 これは俺の偏見かもしれないが、通称"八山田のディディエ・ドログバ"は、異性に興味が無いことを装いつつ、頭に毛が生えてくると評判のスウェーデン製のふりかけ薬をこっそり購入しているところをみると、実は異性をたいそう意識している。ところが、手許が狂ってふりかけ薬を口の周りにふりかけてしまったため真っ黒いやつがびっしり生え揃い、ますます異性にもてなくなった。しかし彼は"いい男"である。"もてない男"と"いい男"とは必ずしも対極に位置するものではない。どうせ大半の女性はグラビアの厚さほどの価値観しかもっていないのだから、男の価値なんて見抜けやしないのだ。
 …仕方なくもらった命、誤って「愛」と呼ぶ。そうしとけば問題はないけど。「どうせなら」と見つけた意味を、誤って「夢」と呼ぶ。本当はそんなんじゃないはず