或る職場の群青

tetsuo_hara2007-05-16

 大ボスと中ボスと外様ボスがひとつのパソコンの前に群がって「ほほー」とか「いやー、すごいすごい」とか「うひゃひゃ、ここまではっきり見えちゃうの!」などと大喜びしていた。大の男が3人寄り添ってはしゃぐのはたいへん滑稽な光景であり、ただごとではない。まさか卑猥な有害サイトを閲覧してるわけじゃあるまいかと心配したが、Google Earthで自分の家の屋根を見たりして喜んでいるだけのようだった。平和で良いなあと思うと同時に、3人の月収の合計を考えるのはやめようと思った。
 オカマ疑惑がある先輩は一日に3回ぐらいしか人と会話をしない。黙々と仕事をするタイプだが、中ボスは沈黙を何より嫌う。「10時と3時には休め」とか「何かひとつでもおもしろいこと言ってみろ」などとちょっかいを出すが、オカマ特有の鉄のカーテンに遮られ、心の交流には至らない。オカマが心を開くのは、女装したときだけである。
 GW中に新潟へ行ってきた。いろいろ観光しようかと思ったが混雑のため時間をロスったりして、結局ふるさと村までが限界だった。整然と咲き誇るチューリップ畑のように人も車もところせましと並べられ、ものすごい賑わいだった。酒販店で日本酒を物色したが、人気ナンバー1は"八海山"でナンバー2は"吉乃川"。かつて一世を風靡した"越乃寒梅"はランク外だった。"越乃景虎"や"緑川"に手が伸びかけるも、限定モノに弱い俺が手にしたのは新潟限定の"越乃白雪"(画像参照)。開封が待ち遠しい。
 ミスチルもそうだが、GRAPEVINEのライヴも近づいてきた。新作はメロディも言葉の切れ味もものすごい。日本のバンドの誰もが行き着けなかった場所に辿り着いてしまった感じだ。その場所というのは、誰も行きたがっていなかったし、それ以前に「そんな場所あったの!?」というような場所である。俺としては、"頭の中で悪魔を飼い慣らし、つがいで増やして、売りさばく"という詞がバインっぽくて好きだ。
 先日、会社全体の歓迎会があった。4月から新しく来た支社長に「腹さんだっけ? あんた俺のこと覚えてる?」とぶしつけに話しかけられ「はて?さて?」と首をかしげていたら「あんたの採用面接やったの、俺なんだよ。あんたのこと採用してよかったわ」などともったいぶりながら種明かしされた。そういえば支社長は昔人事のほうの部署にいたんだった。開口一番「腹さんだっけ」ととぼけたわりには、スーパーで働いていた前歴までしっかり記憶しているところを見ると、きっとタヌキ系なんだろうと思う。
 水餃子と天ぷらの喰い合わせは胃に応える。なすすべのない眠気の襲来だ。
 …優しくないけど僕たちは、誰かを守ってみたいんだ。寂しくないけど僕たちは、誰かと笑っていたいんだ。虚しくないのに僕たちは、まん丸い月を見上げるのは、誰かに僕を見ていてほしい、嘘つきな僕を見ていてほしい。切なくないのに僕たちは、悲しい歌聴きたくなるのは、誰かに僕が似ていてほしい、嘘つきな僕に似ていてほしいから