クラウザーⅡ世

 郡山のビッグツリーページェントが開成山公園から駅前に移転して風情も何もなくなってしまったので、仙台の光のページェントを見てきた。クリスチャンはほんのほんの一握りなのに、この手のイベントに乗っかろうと考える人間はごまんといる。小学校のときの理科の授業で、蟻の巣の上蓋をひっ剥がしたら蟻がうじゃうじゃいて驚いたが、それを思い出させるほど人間がうじゃうじゃしていた。俺って奴は、本能的に、寒くて暗い冬には明るい光を欲する習性がある。俺には明るい場所が似合うと思って満足した。会社の忘年会も終わって、この週末にクリスマスとかいろいろあって、もう今年も終わってしまった感がある。明日からまたお仕事という実感が湧かないのが困ったものだ。
 めくっただけの雑誌、まだ読み終えていない単行本、聞き込んでいないCDなどが俺の周りにはたくさんあるが、また漫画の単行本を増やしてしまった。まだ読んでいないが「デトロイト・メタル・シティ」と言って、オシャレな音楽が好きな"根岸崇一"という優しい青年が、なぜかデスメタル界のカリスマ"クラウザーⅡ世"として人気者になってしまうというストーリーである。映画「ファイトクラブ」もそうだが、俺は二重人格を扱った作品が好きなのだ。それに音楽(しかもメタル)が絡んでいるとあっては読まずにいられまい。
 駅のホームで、遠距離恋愛風の男女がしばしのお別れをする瞬間を見た。見送る男が「着いたらメールしてね」と言って"ブチューッ"と接吻し、女は「やだん、泣かないで」と言って新幹線に乗ってさよならしてた。ここで、「良いものを見せてもらったなあ」などと心が温まるような俺ではない。俺の中の"クラウザーⅡ世"が「ケケケケ、イマドキアンナヤツライルンダワ」と高笑いして「サムイ!!」とか「イタイ!!」とか思ってしまうのだ。(心のどこかで「憧れ」みたいなものもあるのかも知れない。いや、ない!!)
 昨夜、何気にチャンネルをザッピングしてたらBS2でラウドネスのライヴを放映していた。パフィーはキャラクターがウケて米国の音楽シーンを賑わせたが、ラウドネスの場合は正攻法で米国進出し、純粋にその音楽が受け入れられて米国チャートを席捲した実力者である。特にギタリストの高崎晃の演奏技術は世界的にも群を抜いており、元ミスタービッグのポール・ギルバートら数々の技巧派ギタリストにも影響を与えたと言われている。俺は、いち早く海外で成功した日本人として、イチローや中田と同列かそれ以上にラウドネスが評価されて然るべきだと思う。俺も遂にエレキギターを手に入れたので、たぶん3年以内にはデビューすると思う。正直言って、サッカーとか野球とかに関しては限界を感じている。俺が世界に通用するとすれば、きっとギターぐらいじゃないかと思う。
 ようやく年賀状の表面の印刷が済んだ。2006年の作品は超えられなかった(とは言っても方向性が異なるので、2006年作品と2007年作品を比較すること自体が間違いである)が、センスは無いが読み応えだけはある、そんな感じに仕上がりつつある。「正月早々疲れさせたら面目ない」と一文を付したいぐらいだ。部屋のプリンターの上に無造作に置かれた年賀状を、偶然あい子さん(母)あたりが見つけて「あわわわわ、うちの息子は天才だった」なんてことになりかねない。年賀状が完成するまではギターも漫画もおあずけかなあ。
 仙台のアーケードで、色紙に詩を書いて売ってる人がいた。俺も道端で「人間だもの」とか書いて売ってみたいもんだ。ぶっとい字で書いてさあ。
 …特別って思ってても、狭い海で皆泳ぐ。特別って思ってても、観覧車のように回る