息子

 マラソン高橋尚子選手は、「Qちゃあああん」と小出監督に追いかけられる夢に毎晩うなされるんだとさ。うそだけど。
 シエンタ(愛称:ムッソリーニ)の車検を先日終えたところだが、初車検なのに8万キロも乗っちゃってるもんだから経費も随分余計にかかった。初車検で8万キロというとぎょっとされるが、別にたいしたことではない。鳥が飛ぶことや魚が泳ぐことと同じである。そこに理屈はない。スパークプラグをイリジウムに交換したら走りの違いを実感できるほど良くなった。パワーも増したし音も静かだし燃費も良い。イリジウムプラグは是非おすすめしたい逸品だ。
 今年もボジョレーヌーボーが解禁になったが「今年のボジョレーは出来が良い」と毎年のように言っているので信憑性に欠ける。「CMのあともまだまだ続きます」みたいなものか。ところで"ボジョレー"と表記する場合と"ボージョレ"と表記する場合があるが、どっちがより正しいのだろう。実際にフランス人が発音したのを聞いたことがないから俺にはわからない。しかもワインの味もわからない。
 サンドイッチはサンドイッチ伯爵に因んでその名がついたとずっと思っていたが、これは間違いだった。正確にはサンドイッチ村のジョン・モンタギュー4世伯爵に因んだもので、"サンドイッチ"とは人名ではなく市町村名だったのだ。蛇足だが、ゼリアあたりでは激安メニューの「マルゲリータピッツァ」とは、イタリア国王ウンベルト1世の妻であるマルゲリータ王妃の名が由来している。俺、なんだかとっても腹が減ってきたよ。
 先日ランチを食べた店は、もともと蕎麦屋だったものを息子がイタリアンレストランに変えてしまったという店だった。俺はトマトベースのパスタを食べたのだが、ソースがものすごく作りこまれている気がしてとても美味しかった。あの味は、息子が衝動的に「イタリアンやりてー」と気まぐれで作れるような味ではない。バランスを保ちつつ、色々な材料を足したりひいたりしながら研究を重ねてきた過程を、たったひと口で感じ取れるぐらい良いソースだった。そして俺は思った。「あの息子、本気だったんだ」と。接客も良いし、営業時間はランチタイムとディナータイムのみというこだわりぶり。俺の時計をチラ見していたし、ファッション面のセンスも良いようだ。
 通称"八山田のディディエ・ドログバ"は、俺のケータイが便器の中に落ちた話になると妙にはしゃぐのだ。彼は機種変したてのようで、昨日も今日も「ケータイが新しいとメールが打ちにくいー」などと喜びながらメールしてきた。「火」という言葉の由来は、火を起こして感動した原始人が「ひー!!」と叫んだところからきているという説がある。ならば英語の"FIRE"は「アイヤー!!」って叫んだところからきたのか? ケータイをいじくる"八山田のディディエ・ドログバ"のことを想ったら、原始人と火を連想してしまった。
 …黒い雨は止まずに、君の火傷冷やしてた。深い色が重なる夜の模様を焼き付けた