ユリアに傷心(ハートブレイク)

 通称"二本松のズラタン・イブラヒモビッチ"は、北斗を打つようになってから少し変わった。それまでは「うーん、今日はどうしよう」と思春期のオカマのようにモジモジと葛藤しながらパチンコ屋へ足を運んでいたが、今ではものすごいモチベーションで「設定たしかめに行こうぜ!!」とこんな感じで俺をいざなう。そして、以前はちょぴっと出たら即換金して「お先に失礼ごゆっくり」と勝ち逃げを決め込むのがパターンだったが、今では7〜8時間は平気で打っている。先日は、彼が離れた台に女性の客が座ったところ、即ボーナスをひいてしてしまうという災難に見舞われたが、「あの女はバッグの口をいちいち閉じないで開けっぱなしにしているから貞操観念がゆるい証拠だ」などと偏見を語って悔しさを紛らわせていた。結局がけっぷちから執念で見事に這い上がり、傷口を最小限に抑える快挙を成し遂げている。
 俺は2台を渡り歩いたが、2台とも大ハマりして大敗を喰らった。南斗最期の将のステージに何度も突入したが、ユリアには会うことは出来なかった。オー・マイ・ユリア、憶えてるかい? 俺たち見てた夢。帰ろうぜ、あの街角に。ハートブレイク、オーマイマイマイマイ、ユリア。オー・マイ・ユリア、ラストダンスは、ひとりじゃ踊れない。もう一度、胸に帰れよ、ハートブレイク、オーマイマイマイマイ、ユリア。
 ニンテンドーDSファイナルファンタジー3は、ファミコン版よりグラフィックスも操作性も向上して数段遊びやすくなっているという印象。RPGの名作をハイレベルなクォリティで蘇らせたスクウェア・エニックスはさすが。昨今の大仰なRPGは巨大化しすぎて遊びにくい。FF3のジョブシステムはRPGの本質である"育成"の部分が存分に楽しめる。
 ファミレスに入ったら、同人誌のグループがそれはそれは楽しそうに大声でおしゃべりしながら食事していた。うち何名かは自作と思しきコスプレをほどこしており、聴こえてくる言葉は英語よりも不可解である。普段は部屋に引きこもって、人知れず漫画を読みあさったりアニメのDVDを見まくったりと抑圧された生活を送っているから同じ趣味を持つ人の社交の場に出ると一気に解放されるんだろうなあ。余談だが、同人誌を扱った邦画に「恋の門」というものがあるが、これの酒井若菜はすごく可愛い(そしてエロい)。松田龍平とW主演だが、龍平の演技も少しはましになってきたと思った。
 年に一度のチャリティ番組が今年も無事に終わった。え? 何が地球を救うって? 難しいことは分からんけど、大のオトナが1円にもならないようなチャレンジ(おんぶで登山だとか、大抵ハードルは低い)を行なって成功しても失敗してもTV局の演出でどうにか「感動」につなげようとする手法はそろそろ卒業してほしい。おんぶで登山するぐらいならテレビ見ながらこたつに入って屁でも【不適切な表現のため管理人の権限により削除させていただきました】ものである。予定調和のマラソンと、売名行為さながらの芸能人の募金活動も。本気ならば、もう一度萩本欽一さんがMCをやっていた頃のように、純粋なチャリティ番組に立ち返って欲しい。難しいことは分からんけど、そんなことは知らないけど、いつから子供は大人に、人生はなぜか履歴書に、感情はワリカンなのに領収書は自分のものに、サンタクロースは子供のために、コンドームは自分のために、怒りを誰かのために、愛情は自分のものに。何が見える、その先に? 愛はあるのかい、そこに? 愛を誰かのために。誰かのための部屋を心に、心に、心に。
 …テーブルを拭いて、バスタオルをたたんだ。ガーベラの匂い。左の靴下が見つからない