手首に巻いた崇高

 ドイツとの親善試合。ジーコジャパンが強豪国とガチで戦うのはコンフェデのブラジル戦以来となったが、クリンスマン率いるドイツ代表と引き分けるなんて、ダイヤモンドサッカー世代のファンならば涙ものである。フランス大会の頃は日本人選手しか知らなかったから日本が敗退したらそれでW杯も終わりだった。今は情報がどんどん入ってくるおかげで、海外にひいきの選手もできてきた。日本代表がW杯の盛り上がりの大部分を担うのは間違いないが、日本代表がW杯の全てはなくなった。そんな中、注目したいのは天才司令塔リケルメを中心としたアルゼンチン代表。FW陣もクレスポテベス、メッシと役者ぞろいだが、何より監督の名前がペケルマンである。なんだか名前が良い。だってペケルマンだもの。ペケルマンクリンスマンでヒーロー実写活劇とかつくってはどうだろう。地球上では3分しかもたないタイプのあれ。どうですか円谷プロさん?
 異動したての4月頃は、職場に飛び交う会話がまったくもって意味不明だった。仕事を教わろうと思っても、摩訶不思議な専門用語で話をされるからチンプンカンプンである。この頃やっと人が何を喋っているのか少しはわかるようになってきた。それでもまだまだいちばん下っ端ですわ。こわっぱですわ。あなた方にはまだまだ及びません。俺が他の人よりも優れているのは腕時計だけですから。首から下げた誠実は、手首に巻いた崇高は、獣が単に進化して、変わりに手にした財産。
 …もつれてた毎日や凍りついた朝に、こみあげる憧れをいつも信じていた。何を見て、何を愛して、何に傷ついてきたの? 青いバラの灯ともして、語り合おう、夜明けまで