無知は罰、無知は罪、ムチムチは俺好み

 俺は何も知らないのに、支店からは毎日雨あられの如く質問の電話がかかってくる。「お金を払いすぎっちゃったから返してもらいたいんですが」とか「払い損ねたから払いたいんですけど」とか「バナナはおやつに入りますか?」とか「姉歯建築士のカツラはどこに保管してあるの?」とか「ブラのホックがうまくはずせないんですが」とか…。知りませんとは言えないので、お調べしますからと言って電話を切る。無知な俺だが、負けず嫌いな性分なので即答できないのは結構悔しい。業界で"聖書"と呼ばれる黒いバイブルを、アフターファイヴや土日祝日に読んで勉強しようと思いつつ、なかなかそうもいかない。じゃあ余暇はどう過ごしているかって? パン屋さんの店員の揺れるバストに釘付けになったり、和風ファミリーレストランの店員のアニメ声の虜になったりして、それはそれで忙しく過ごしている。ちなみにタイトルの「無知は罰、無知は罪、ムチムチは俺好み」は、スチャダラパーの傑作リリックのひとつ。
 …なくしたものが見つからないと、時間のない彼女は言う。風は隠れて泣いてた