棚倉宏の棚倉フレンドパーク2

 ベッドサイドでノートパソコンをいじっていると、この頃は電源を入れたままうたた寝してしまうことが多い。湯たんぽで下半身を温めると眠りが誘発されるのだろうか。
 職場のボスは、金融機関のATMのカードの暗証番号を忘れてしまって預金が引き出せなかった。ヒステリックなボスはそんな些細なことでも鬱憤がたまり、その矛先は副ボスへと向けられる。この国はまだまだ縦社会だし副ボスは人が好いのでボスには決して反論しない。俺は副ボスのことだけはいつも気の毒に思っている。
 親方は、別の部署の主任と「言った、言わない」の水掛け論を展開していた。親方は決して頭を下げないし、大人気ないやりとりはまるで小学生の口喧嘩みたいだった。俺は、親方のことだけはいつも子供みたいだと思っている。
 朝日新聞の健康コーナーはなかなかためになる。先日は仕事中に眠くなったときの対処法が掲載されていた。ツボ押しと仮眠と上手なカフェイン摂取で眠気をコントロールできるらしい。数週間前にはカツラとの上手な付き合い方が掲載されていた。カツラなんて、決して口に出して言ってはいけない日陰の存在と捉えていたから、天下の大朝日が堂々と紙面に載せるとは意外だった。俺が子供の頃に通っていた近所の床屋の主人はカツラだったが、あの頃から比べるとカツラもずいぶん市民権を得たものである。
 バガボンドの最新刊を読んだが、吉岡清十郎の斬られ方に恐怖心を抱いた。あれは酷いわ。
 ゲーセンでエアホッケーをしていたら、幼児にラケットを取り上げられた。すごい楽しそうに見えたんだろうね、俺の姿。ギター・フリークスではAランクを取れるようになった。スティーヴ・ヴァイへの扉は開かれた。
 …「ねえ、昨日は何度思い出してくれた?」答えもなくまた去るアナタは、うつろな仕草で飛び立つ。時間という音のない雑踏へ。都会の朝より空虚で、水面よりまっすぐで貪欲