雲がちぎれる時

 先週の土曜日、ゴルフをしに沖縄へ行く予定を立てていた父だったが、体調不良のため断念した。長引かせていた風邪が胃腸へと忍び込み、一切の食べ物を摂取できなくなってしまったのだ。点滴で辛うじて栄養を摂っていたが、昨日ようやくお粥を食べられるまでに回復した。今日は「天丼が食べたい」というので、わざわざ隣町まで買出しに行ってきた。"風邪は万病のもと"とはよく言ったもんだ。早期治療に努めましょう。
 サッカー日本代表ボスニア・ヘレツェゴビナ戦ではぜひ松井大輔を見たかったが、結局ピッチに出ることはなかった。前半は中盤がまあまあうまく機能していたので、あの状況で松井の投入はしにくかっただろうから仕方ない。トルシエ監督のときは前線とDFラインの間隔を徹底的に狭めていたけど、ジーコになってからはDFラインが深くなった。だからその分ボランチの負担が増えて大変だ。福西のように守備の意識が高い選手は良いが、稲本のような攻撃型のボランチだとジーコのチームにはフィットしないんじゃなかろうか。余談だが、この試合を裁いたドイツ人の主審はものすごく金に汚そうな顔をしていた。
 日本対ボスニアを観る直前に、録画してあったバルセロナチェルシーチャンピオンズリーグの試合を観た。退場者が出て10人になっても守備に人数を費やさず、あえて攻撃的な布陣を敷くモウリーニョ監督の肝っ玉はすごい。しかもランパードのFKを契機にしっかり先制点を奪ってしまうんだから。ゲーム中に頻繁に動くモウリーニョは傍から見ればただの小うるさいオヤジだが、采配がズバズバ的中してしまうから格好良く映る。ジョン・テリーはハートがものすごく強いと感じた。理想的なキャプテンだ。バルセロナのメッシは、スピードもテクニックもロナウジーニョ以上じゃないかと思ってしまった。そしてアルゼンチン人らしからぬフェアプレーにも好感が持てる。レアルのロビーニョはプレスされたりしたときに「ファウルじゃないか!」みたいなあからさまな態度を見せるが、メッシにはそういうアンフェアーなところが見当たらない。本当に凄い選手だ。メッシのプレイを見た直後に日本代表の試合を見たらとても緩慢に思ってしまった。
 国会を騒がせている堀江メール問題、永田議員は自分の墓を自分で掘るという大失態を演じてしまった。長音記号を使うべき部分にハイフンを使用しているあたりがなんとも稚拙でお粗末で素人くさい。与党の黒の部分を暴いて一気に名を上げようとする上昇志向は嫌いじゃないが、勇み足もたいがいにしろと言いたい。仮に捏造だとしたら、俺みたいな活字ジャンキーに捏造を依頼すれば信憑性も上がるのに。民主党の前原代表は、どこかこう美川憲一的というか、ゲイみたいな匂いがする。大変な時期に代表になってしまったなあ。今度総理に向かって「おだまり」って言ってもらおうか。
 職場で俺の対面に座っているプロゴルファー猿みたいな人間は鼻持ちならない男だ。「管理職によるかかる不祥事」という一文について"よるかかる"という表現がおかしいのでは、と俺が言ったら噛み付いてきやがった。"かかる"という言葉をわざわざ電子辞書で索引して、「"かかる"っていう言葉には"このような"っていう意味も含まれるんだよ。だからおかしい表現じゃないんじゃないのかなあ」と言いつつ、鼻持ちならない態度で「ほら」と言って電子辞書の索引画面をご丁寧に俺に見せるのだ。さらに「まあ、"管理職によるこのような不祥事"って書いてくれたほうがわかりやすくて良いんだけどね」と、鼻持ちならないフォローまでしやがるからぶっとばしたくなった。そんなに懇切丁寧に説明してくれてもどうせすぐ忘れるのにね、脳年齢51歳だもん俺。
 一度会議とか研修とかで一緒になっただけなのに、やたらと馴れ馴れしく接してくる人間は俺に何を求めているのかね。「一回エッチしただけで恋人づらしないでよ」、そんな気分だ。
 4月からの俺の行き場所と生き場所が決まるのも、もう間もなくのことである。もっと早くにもっといろいろ経験したかった。言うじゃない、鉄は熱いうちに打てだとか芋は熱いうちに喰えだとか。「見ざる、言わざる、聞かざる」で、今の職場に盲目的に忠誠を尽くしているうちに脳年齢が51歳になってしまった。
 …我が儘な私は、「怖い」だけの言い訳で自分をすり減らす「時間」を憎んでしまう。イカレタ話だと笑うでしょう? それでものおのずと朝を詰む