特命平社員

 職場のおじさん達が「しかし政府のやっていることは、ねえ」と政治批判で盛り上がっていた。江戸時代にはお百姓さん達が「しかし幕府のやってることは、ねえ」と幕府を批判していたに違いない。時代は変わっても批判されるものは変わらない。結局俺は、第3次小泉内閣にも呼ばれなかった。環境大臣に就任したかったんだ。ワキガ問題に徹底的に取り組んで、ワキガ撲滅を公約に掲げるつもりだったんだ。
 自分の仕事に区切りがついたので、自称"白河のメグ・ライアン"から特命を受けたことを黙々とこなしていた。頭の中はIF関数とスケベなことでいっぱいである。
 通称"八山田のディディエ・ドログバ"と寿司の話をしたが、彼はまぐろは好きではないらしい。では何が好きなのかと尋ねたら、「イカ」と答えやがった。どこまでもチープな男だ。NANAのストーリーはどんなものかと聞かれたので「端的に言えば、おまいと"二本松のパク・チソン"との友情物語だ」と答えておいた。
 俺が欲しがっているブライトリングは、イタリア空軍との共同開発モデルだ。この空は俺の空。腕にブライトリングさえはめれば、自由に棚倉村の空を飛べる気がする。
 …放浪フリーク。片道で。いつだってうまく言えやしない。だからどうか、力とか、光とか、、、実際苦手で