生還

　腕を落としたり足を失くしたりするのはまだいいほうで、命を落とす者も珍しくはない中、俺はケガひとつすることなく"虎の穴"から娑婆世界に戻ってくることができた。痩せた狼みたいな目つきの俺は、４年前に"虎の穴"へ行ったときと違って「てっちゃん」と呼ばれることは一度もなかった。それでも「世の中のすべての女性は一度は俺に恋をする」と勝手気ままな解釈をして、不毛とも豊作ともどちらとも言える３日間を過ごしたのだった。
　ピンボケ気味の画像は、ヘラクレスと呼ばれる強面の河童。尻子玉を抜かれないように気をつけなくては。
　…どうしたのうつむいて？　どうしたの振り向いて？　過去も未来もここにはないよ。徐々にで、そう徐々にでいいから、もっと重たいもの持てるよ