遠くで火事を見ていた

 スヌーズ機能のついた音声報知式目覚まし時計で毎朝起きているが、今朝は人間の屁が目覚まし時計代わりだった。金管楽器のホルンのような乾いた音で、スタッカート気味に響くそれは、どんな深い眠りからでも一気に正気に戻してしまうほど効果絶大である。
 映画「電車男」を見た。このタイプの小説を映画化するのは苦労したんじゃないかと思う。エルメスさんも言っていたが、"なんでもないことを楽しいことに変える"とか"ほんの小さなことでもすごく大きな意味のあることに変えてしまう"という行為は、異性間ではとても大切なことなのだと思った。落とした定期を拾うシーンでは、電車男エルメスさんとをつなぐ赤い糸が見え隠れした。大杉蓮は懲りずに酔っ払うから最高だ。7月にはテレビドラマ化、8月には舞台化までしてしまうらしい。電車男エルメスさんの間にあるのは純愛だけで、エロス的な要素はひとつもない。昔ある歌手は「恋なんて、いわばエゴとエゴのシーソーゲーム」と唄って喝采を浴びたが、「恋なんて、いわばエロとエロのシーソーゲーム」と叫ぶ僕を、シスターストロベリーは少し恥じているようだった。
 "クールビズ"を合言葉に、偉い人たちがエコロジーを気取っている。彼らには「究極のエコロジーは死ぬこと」と教えてやりたい。これは、元ブランキー・ジェット・シティ中村達也氏(現ロザリオス)の偉大なるひと言である。
 …あの国の冬、この国の冬、世界の冬が欲しいのはなんだ? 平和のカネ? あったかい毛布? 改訂版世界地図? モナリザにも聞いてみたけど答えはわかんない