啓蟄

 今の勤め先で、はや3年が過ぎようとしている。はじめの1年は雰囲気と仕事を覚えようとして、俺にしては一生懸命だった。元来飽きっぽい性分なもんだから仕方がないが、あとの2年はほとんど惰性で、最も苦手とする「我慢」とか「忍耐」が繰り返されるストイックな日々だった。俺が夢を見ているあいだに季節が12個もかわってしまった。俺の居場所はどこだ? ソーセージに辛子を塗らなくちゃ。
 アルコールを飲む前に乳製品を飲むと胃に膜ができるから良いんですってね。昨日は飲み会の直前にたまたまカルピスウォーターを飲んだもんだから、俺の胃の処女膜が再生されてすこぶる調子が良かった。生中を2杯以上飲んだのはいつ以来だろう。タンタカタン鍛高譚という焼酎が、値段の割りにお上品な味でとてもおいしかった。フグの唐揚げも絶品。白魚の踊り喰いができなかったのはやや心残りか。
 黄門ちゃまを天井付近まで回したが、継続性はまったくなし。従業員の給料ひと月分ぐらいを置いてきた。何度も言ってきたが、あの店に行くはもうやめだ。
 中村俊輔のFKが大絶賛を浴びているが、俺は全力疾走する中村俊輔を見たことがない。足なら俺のが速いんじゃなかろうか。
 …やわらかなベッドもあったけど、俺はエンジのソファでいつも眠っていた