野良猫組合

フリー

 晩御飯を食べながら、無料放送のときに録画したレッチリのライブを見た。アンソニーのパフォーマンスも迫力だし、ジョン・フルシアンテのギターも冴えるけど、俺にとってのレッチリは、ベーシストのフリー(画像)である。スピーカーをBOSEに切り替えると、フリーのベースラインは一層引き立つ。地震の前の地鳴りみたいで、3.11の恐怖が脳裏をかすめる。ステージでのフリーは変態であることに間違いはないんだけど、ヘッドバングの仕方も普通じゃないし、絶対むち打ちになってると思う。サッカーのルーニーに顔が似ている。
 我が家に居ついていた野良猫「てぶくろ」の姿が、5日間ほど見えなくなり、軽いペットロス症候群に陥った俺だったが、6日目の朝に「ウニャ」という声を聞いた瞬間に病が治った。しかし、以前は我が家にべったりだったてぶくろだが、朝の時間に気が向いたときだけおやつをもらいに来て、そのあとはひたすら放蕩する気まぐれな猫になってしまった。春が近づき、発情期を迎えて人間から遠ざかりたいのかも知れないが、てぶくろは去勢猫なのでその可能性は低い。ふざけて、俺が「男おばさん」と呼んだのを本気で根に持っているのか、去勢猫なだけに。野良猫組合に入ったという説もある。人間と親しくすると組合がうるさいんだとか。
 ちなみに、この辺の組合員は、俺が確認できただけでてぶくろのほかに3匹。まずは、てぶくろよりもずっと痩せているが、体の模様がてぶくろにそっくりな「くつした」。次に、真っ白な毛に覆われた「マシュマロ」。そして、てぶくろのおやつを時々盗み喰いする「ルパン」。ルパンは非常に用心深く、盗みを働くのもしたたかである。これでもかと言うぐらい腰を低く落として、物音ひとつ立てずにやってきて、気付かないうちにおやつをたいらげて風のように去っていく。そして、口の回りには、それこそ泥棒のひげのように真っ黒な模様。まさに「天下の大泥棒」と呼ぶに相応しい。
 昨夜は某大手チェーン店で飲んだんだけれど、焼酎の水割りを飲んだら、寝て起きても頭が重い。前頭葉のあたりが落ちぶれる。きっと大五郎か何かだったに違いない。そしてタイミング悪く、今日は研修会だった。PCを使った実務的な内容だったが、年齢層は割と高い。「カーソルを移動するにはどうしたらいいんですか」なんて言い出す人もいて、半ば、"中高年のためのパソコン講座"みたいだった。
 …奇跡は起こるもんじゃなくて起こすものだと、手当たり次第ボタンがあれば連打した。「今」がすり切れるくらいに生きてたんだ。精一、目一杯を