笑って転げて泣いてちびれ

 テレビをつけたら、明石家さんまが「悪いことすると、虫になっちゃうってホントかなあ」と、裸の大将の真似をしていたのがおかしかった。三都主が相手のペナルティエリア内でファウルをとられて、審判に「ナニ!? ナニ!?」と詰め寄っていた。三都主の自信なさげな声のトーンはツボであり、おかしかった。やっぱりテレビっておもしろい。
 中ボスは、客の後頭部にできた円形脱毛症に着目し、「あんなのできるほど仕事が忙しいんだろうか」と余計なことを勘繰っていた。そして、国体の準決勝で早実の齋藤投手が行なったハンケチのパフォーマンスには憤りを感じているようだった。俺は、ハンケチのことは抜きにして一人の投手として一目置いていたが、あのパフォーマンスですっかり冷めてしまった。
 記者会見で、記者に質問されているのに「答えはおのずと質問の中にある」とのらりくらりと焦点をはぐらかすオシム監督は、監督やってなければ単なる頻尿の偏屈老人だ。
 一週間前は京葉線でもみくちゃにされてたっけ。ハンサム、ブサイク、イカリ肩、デブ、チビ、メガネ、ヒゲ、ワシ鼻…。人との出会いが旅だから借金してでも行きたいな。
 …溶けては染みわたるほのかなほのかな夜の吐息よ。愛しい涙色の声でなく虫と、闇夜を照らす星達の心に憧れて