あんたがったタフマン

 徹夫の保護者と呼ばれる人から小包が届き、箱の中に北海道と宮崎と神戸のお土産品が詰まっていた。日本国中をかなり広範囲に動いており、なかなかうらやましい。たくさんのものを見聞するのは良い。知識と経験は形のなき財産である。
 中ボスからタフマンをご馳走になった。巨人バカの中ボスが言うには、元気のないジャイアンツに喝を入れるためだとか。俺がタフマン飲んでジャイアンツが勝てるならいくらでも飲むが、タフマンってたしかヤクルトの製品だったよな。しかも俺の口に合わなかった。原材料に"ワイン"とあるのが謎だが、とにかく薬品臭くてヘンに甘くて苦手だ。
 あるときは預金を全部下ろして馬券を購入し大失敗したり、またあるときはトラックの前に突然飛び出して「僕は死にましぇーん」と半べそをかいてみたり。そんな通称"二本松のズラタン・イブラヒモビッチ"の人生を賭した(と言っても過言ではない)見合いの日取りが決まった。そのことを本人に伝えたところ、冷静に受け答えはしていたが「過度の期待は禁物」と、努めて興奮を抑えている様子が垣間見れた。しばらくは眠れない夜が続くだろう。俺は傍観者として恋愛ドラマを見る感覚で静観しようか。それとも脚本家として完璧なシナリオを立ててやろうか。どちらにしてもオーバー・サーティの彼には存分にハニカんでほしい。手始めにメンズエステに通うことを義務付けた。101回目のプロポーズが成功しますように。
 …この風の向きがちょっと左に変わったら、とっておきの甘い近道の地図をあげる。叱られたまま別の道、一緒に探そうよ