地獄行きの列車に飛び乗り、天使のように遊ぶ僕達

 お気に入りの回転寿司屋は改装され、一皿百円の安い店に変わってしまった。3月は別れの季節とよく言うが、とてもショックだった。仕方なく別の店へ行くと、相変わらず横柄な女性店員が信じられないような接客をしていた。客に向かって「何人? ボックス席とカウンターどっち?」などとぶっきら棒にしゃべっていた。俺は耳を疑いつつ、背を丸めて白子の軍艦巻きを食べた。
 GIGを見ようと思って氣志團の4枚目を買った。楽曲はますます歌謡曲化した感があるが、勝負どころで時に武骨に、時にキャッチーにギターを鳴らしてくれるあたりに"ロックバンド"(本人曰くヤンクロック)たる自信と誇りみたいなものを感じた。18曲と収録曲数の多さに驚いたが、あからさまに似たタイプの曲はなく、それぞれ"色"がはっきりしているので、飽きることもだれることもない。この構成の巧みさはプロデューサーの阿部義晴によるところが大きいと思われる。1曲目にオーケストレーションを使用した曲を持ってくるとろこなんかはユニコーンの傑作「服部」と相通ずるものがあり、このアイディアも阿部義晴が持ち込んだに違いない。「月影」というインストゥルメンタル曲は圧巻だ。ドラムが激しい曲で、終盤にトップシンバルを力任せに連打するのだが、この力任せにトップシンバルをぶっ叩く姿をぜひGIGで観てみたいと思った。
 ブログに書くことが供養の第一歩という考えに至ったのであえて書くが、どうしても避けられないタイミングで道路に飛び込んできた猫を自動車で殺めてしまった(かも知れない)。神様は、多くの人が長髪に布一枚を体に巻いたイエス・キリストのような姿を想像すると思うが、これは間違いである。実際は、七三分けのヘアスタイルに眼鏡使用。コナカのスーツにネクタイ着用(夏はノーネクタイ可)といういでたちだ。そして机に座りっぱなしで毎日(月〜金、朝9時〜夕方4時半)書類を審査しているんだ。机の上には書類の山が3つある。ひとつは"天国行き"、もうひとつは"地獄行き"、そしてもうひとつは"保留"で、この"保留"の書類がいちばん多い。俺の書類は"保留"の山にあったが、今日猫を殺めてしまった(かも知れない)ことで「はい。じゃあこの人、地獄に決まりね」と"地獄行き"の山に移されてしまう可能性が出てきた。足元は針の山、喉元は糞の海。蛆虫を植えられて火に投げ込まれた果ては、けつの穴から槍刺され、爪で皮をはがされて、釘で手足を打たれたら、そこはまな板おそろしや。でかい包丁で細かく刻まれ、骨になるまで鬼に喰われる…。許してください、許してください、明日からはまじめに仕事しますから。もう奇声を発してサギを脅かしたり、蛙を捕獲して大便器に流したりしませんからからからから…(残響音含む)。冒頭、「猫を殺めてしまった」と断言せずにかっこの中に「かも知れない」と書いたのは、軽く車にぶつかって脳震盪を起こしたけれどすぐに立ち上がって藪の中へ走って消えて行った、みたいな希望にも似た憶測があるからだし、心からそうであってほしいと祈っている。
 …あまねく染み渡る限界という名のノイズ。色づく楓、その手の未熟さに枯れてあたしを喜ばして