疲労困憊

 俺の職場のボスに、将来的に海外に住みたいと思うかと訊かれたが「棚倉村でいいんです。棚倉村がいちばんです」と答えておいた。田舎者ほど都会や遠方に憧れるが、都会人は田舎こそ好むものだ。
 中南米は恐ろしい。ホンジュラスはなかなか決定力が高いが、こと守りに関しては日本のJ2のチーム並で、ドイツ行きを逃したのも窺える。俺が全幅の信頼を寄せる楢崎が4失点したのはガッカリだ。ジーコはどうしても4バックにしたいようだが、やっぱり3バックじゃないと不安定だ。サントスはイエローを2枚もらってもおかしくなかった。ホームじゃなければ悲惨な結果になっていたであろう。4失点しても勝っちゃうんだからジーコの強運には恐れ入った。中田英寿セリエAのデビュー戦でいきなり2ゴールを決めたイメージが強すぎるからトップ下が本職であり天職のように思われがちだが、ボランチに入ったときのほうがチーム全体が機能するような気がした。中村俊輔は相変わらず全力疾走をしないくせに、試合が終盤に差し掛かるとバテバテだ。ただしテクニックは間違いなくワールドクラスだった。
 試合のハーフタイムで政党のテレビCMがたくさん流れた。小汚いおっさんの三文芝居になんだか疲れてしまった。
 びっくりドンキーで店員に「グラスワインあります?」とか聞く客がいるもんだから、なんだか疲れてしまった。
 …目が覚めて、じっと何もせず、俺は試されてる。今も、こんな時にも、夜が明け、何気なく死んだつもりになる